中国インバウンドは、もう終わってしまったのでしょうか。
二〇二五年の春節を前に、中国人の海外旅行先ランキングで日本が十位圏外となったというニュースが報じられました。この情報を目にし、不安を感じた日本企業の方も多いのではないでしょうか。
春節は、中国において一年で最も大きな移動と消費が起こる特別な時期です。都市から都市へ、人から人へと大規模な移動が発生し、観光、宿泊、飲食、小売など、あらゆる分野で経済活動が活発化します。インバウンド市場においても、春節は年間の動向を占う重要な指標とされています。
その春節に、日本が人気旅行先の十位圏外に入ったという事実は、中国インバウンドを成長戦略の柱としてきた日本企業にとって、心理的なインパクトが非常に大きいものです。
実際に、「中国人観光客はもう日本に来なくなるのではないか」「これ以上、中国向け施策を続ける意味があるのだろうか」といった声が、企業の現場でも聞かれるようになっています。
特に、宿泊業、飲食業、小売業、観光施設、地方自治体など、中国インバウンドへの依存度が高い分野ほど、この不安は現実的で切実です。
しかし、本当に中国インバウンドは終わってしまったのでしょうか。
結論から言えば、その答えは違います。
今起きている現象を冷静に整理すると、現在は「終わり」ではなく、「一時的な停滞期」であり、むしろ将来に向けた準備を進めるべき重要な局面であることが見えてきます。
本記事では、春節ランキングの背景を整理しながら、中国インバウンドの現状と、今日本企業が取るべき行動について、実務目線で詳しく解説します。
春節ランキングで日本が外れた理由を冷静に整理する

まず、今回の春節海外旅行先ランキングで日本が十位圏外となった理由を、感情論ではなく事実ベースで見ていく必要があります。
ランキング上位には、タイや韓国といった国が並びました。
この結果だけを見ると、「日本はもう中国人に選ばれていない」「日本離れが進んでいる」と感じてしまうかもしれません。しかし、そのように単純化してしまうのは非常に危険です。中国人旅行者が旅行先を選ぶ際には、複数の要因が同時に影響します。
まず、タイや韓国が選ばれている背景として挙げられるのが、距離の近さと移動のしやすさです。中国主要都市からのフライト時間が短く、移動による疲労が少ない点は、春節のように家族旅行が多い時期には大きな魅力となります。また、過去の訪問経験がある人も多く、「失敗しにくい旅行先」という安心感があります。
次に、日中関係や報道の影響です。
中国国内では、日本に関するニュースや論調が旅行意欲に影響を与えます。実際に治安上の問題があるかどうかとは別に、「今は日本に行くのは控えた方がよいのではないか」という空気が生まれると、慎重な判断をする人が一気に増えます。
さらに、為替や物価の印象、ビザや渡航手続きに対する心理的なハードルも無視できません。円安という事実があっても、「日本は高い」「物価が上がった」という印象が先行することもあり、こうした感覚的な要素も旅行先選択に影響します。
これらを総合すると、今回のランキング結果は「日本が嫌われた」わけでも、「日本の魅力が失われた」わけでもありません。
あくまで、「今の情勢では選ばれにくい条件が重なった」という状況だと捉えるのが現実的です。
ランキングでは見えない中国人旅行者の本音

ランキングやニュースの数字だけを見ていると、「中国人旅行者は日本に興味を失った」と感じてしまいがちです。しかし、実際の行動を詳しく見ていくと、まったく異なる側面が見えてきます。
中国人旅行者は、非常に慎重な傾向があります。
特に国際情勢が不安定な時期には、「今は行かない」という判断をする一方で、情報収集そのものを止めることはほとんどありません。
つまり、「行かない」という選択と、「興味がない」という感情は、明確に切り分けて考える必要があります。
現在、中国人が海外旅行の情報収集に最も活用しているプラットフォームの一つがREDです。RED上では、日本に関する投稿の検索、保存、口コミの確認が継続的に行われています。
これは、「今すぐではないが、将来的には行きたい」「情勢が落ち着いたら候補にしたい」と考えている潜在的な検討層が、確実に存在していることを意味します。
表面的な訪日客数だけを見ると市場が縮小しているように見えますが、水面下では次の行動に備えて情報を蓄積している層が存在しています。この層が動き出した瞬間、市場は一気に回復する可能性を秘めています。
中国インバウンドは「終わり」ではなく「停滞期」
中国インバウンドは、これまで何度も「もう終わった」と言われてきました。
反日感情の高まり、政治的対立、感染症の流行など、そのたびに訪日客数は大きく落ち込みました。
しかし、過去の動きを振り返ると、情勢が落ち着いたタイミングで比較的短期間に回復してきたことが分かります。中国市場の特徴は、落ち込む時は急激に落ちる一方で、回復する時も非常に速い点にあります。
重要なのは、回復期に成果を出している企業が、どのような行動を取っていたかです。
多くの場合、情勢が厳しい時期でも情報発信や準備を止めなかった企業が、回復局面で一気に成果を伸ばしています。
問題は、「戻った時に準備できているかどうか」です。
市場が回復してから慌てて動き始めても、すでに競合が先行している可能性が高く、思うように成果を出せないケースも少なくありません。
今はインバウンドの「種まき期間」

現在のような停滞期に、日本企業が取るべき行動は明確です。それは、将来に向けた準備を進めることです。
市場が冷えている時期には、「今は様子を見る」「成果が出にくいから止める」と判断する企業が増えます。その結果、情報発信が止まり、中国市場からの可視性が一気に下がってしまいます。
しかし、だからこそ、このタイミングで動いた企業は、将来的に大きな優位性を持つことができます。
中国市場では、情報の蓄積がそのまま競争力になります。
中国人旅行者は、来日を決める前にREDで徹底的に情報を調べ、保存し、比較します。今投稿した内容は、すぐに成果が出なくても、半年後、一年後に来日を検討する人の目に触れる可能性があります。
成果が見えにくい今こそ、将来の成果を左右する「仕込み」の期間だと言えるでしょう。
日本企業が今やるべき中国向け施策
この時期に重要なのは、短期的な成果を狙った売り込みではありません。
中国人旅行者が求めているのは、安心感と信頼感です。
どのような体験ができるのか
初めてでも不安なく利用できるのか
日本ならではの価値がどこにあるのか
こうした点を、丁寧に、具体的に可視化することが求められます。
また、日本語コンテンツをそのまま翻訳するだけでは、十分に伝わりません。中国の文化、価値観、情報の受け取られ方を理解したうえで、中国人目線で情報を設計する必要があります。
なぜREDが最優先なのか
中国向けインバウンド施策の中でも、REDは非常に重要な役割を担っています。
REDは単なるSNSではなく、検索、口コミ、保存、比較、検討が一体化したプラットフォームです。
中国人旅行者は、来日前にREDで情報を検索し、気になる投稿を保存し、他の情報と比較しながら意思決定を行います。
今の時期にREDでの発信を止めてしまうと、回復期に「比較対象にすら入らない」状態になってしまいます。
一方で、今から継続的に投稿を積み重ねていれば、情勢が好転した瞬間に、検討候補として自然に選ばれる可能性が高まります。
Leeソリューションが伴走できる理由

中国市場向けの施策は、短期的な成果だけを求めると失敗しやすい分野です。特にRED運用は、継続と改善が欠かせません。
Leeソリューションでは、中国市場を前提とした戦略設計を行い、日本企業が無理なく情報発信を続けられるよう支援しています。
情勢が厳しい時期も含めて運用を止めず、回復局面で成果が出る仕組みづくりを重視しています。
まとめ
春節で日本が十位圏外になったというニュースは、不安を感じさせる内容です。
しかし、それだけで中国インバウンドが終わったと判断するのは早すぎます。
今は諦める時期ではなく、準備する時期です。
未来の成果は、今どのような行動を取るかで大きく変わります。
中国インバウンドやRED運用についてお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。
今の状況だからこそできる戦略があります。

